12月写真五七五例会

第１部　学習会　

　　　　◎講師　長谷川　孝　さん　 「川柳入門」　　　　出典：「楽しく始める川柳」　（山本克夫編、金園社刊）
　　　　　　　　　講師が出典の書から学んだ、基礎的な川柳についての知識、詠み方の紹介
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１．俳句と川柳の違い
　① 川柳は江戸時代に盛んだった「前句付」から付句が独立したもの。江戸期の選者（柄井川柳）から採った。
　② 俳句は連歌の発句（季語を入れた最初の五七五、上の句）が独立したもの。
　③ 俳句は基本的に季語を必要とする。一般的には文語体で読み、切れ字（や、かな、けり）を使うことも少なくない。
　④ 内容的には、俳句は自然諷詠といって自然を対象として客観的な見方が多く、抒情性を大切にする。
　⑤ 川柳は人間諷詠とか社会諷詠といい人間や社会を対象に主観的／客観的に詠み、人情の機微や人生の哀歌までも表現する。
　⑥ 現代では短詩形文芸が多彩な表現形式を執るようになり、それぞれのジャンルの境界がはっきりしなくなっている。(無境界化現象）
２．川柳の3要素
　①穿ち（うがち）… 物事を深くえぐり人間の機微を美味く表現する。　　　　　　　　　　・人間の勝手なものに四捨五入　　(水府）
　②軽み　… 垢抜けした、さっぱりした、枯淡味とか洗練味といってもよい。　　　　　　　　　・無い筈はない抽斗を持って来い　（当百）
　③滑稽　… 心の奥底から自然に湧き出るような笑いで、目には涙がにじむようなもの。　・膝に水いいや酒かも知れないぞ　（翆公）
３．川柳の発想法　　　　　※尾藤三柳著：「川柳作句教室」より引用
　①リアリズム（写実と穿ち 　　　　　　・本降りになって出ていく雨やどり　　　　「誹風柳多留」
　②ウイット（既知と意外性）　　　　　・仲人にかけては至極名医なり　　　　「誹風柳多留」
　③リリシズム（抒情と内省）　　　　　　・かぶと虫も女も秋に生き残る　　　　　（恵美子）　
４．川柳のしくみ
　①何を句にするか…好きなこと、物事を裏返してみる、等　　②物を人に見立てる…擬人法
　③表現の省略…省略しても全体が推測できる、韻文化　　④リズムと形式…句の切れと意味の切れ
　⑤破調と字余り…定型にこだわらない　　　　　　　　　　　　 ⑥省略による凝縮…17音字にまとめる
５．川柳のテクニック
　①明快な表現にする …あいまいな表現を避ける　　　　　　 ②無駄な言葉を削る…意味の重複と省略
　③一般性を大切に… 地名、人名、固有名詞など　　　　　　 ④気取らず、気負わずに…風刺と嫌味は違う
　⑤勝手な造語を使わない …造語、短縮語　　　　　　　　　 ⑥語句は正確に使う…無理な圧縮や引き伸ばしは不自然な表現
　⑦必然性のある句語を使う… 置き換え自由は動く句　　　 ⑧月並みな表現とは…型どおりの平凡なもの　　　　　　　以上
　　