第１部　学習会；『 今日から俳句(※)(その３)；基本、実践、応用 』担当　後藤　伸穂
　(※）出展； 「NHK俳句　今日から俳句 はじめの一歩から上達まで」（片山由美子）NHK出版
　俳句の基本、実践、応用について、(その1,２)に続き、出典本の”基本編””実践編”より各１項を抜粋・要約
Ⅰ 基本編；見るということ、見えてくるもの
　俳句を作るためにはものをよく見ることが大切で、「写生」が俳句の基本です。ありのままを描いて作品として成功するのは、実はそこに作者の発見があるからで、誰もが見ているようで気が付かなかったもの、それを切り取って見せることだといってよいでしょう。
　対象を見ているうちに浮かぶ思いがけないことばが、新鮮な一句をもたらしてくれるはずです。　 (以下 略)
Ⅱ 実践編；間違いやすい俳句の文法
　俳句は基本的に文語を用いることが一般的で、それは、五・七・五 のリズムそのものが文語から生まれたものだからです。したがって、文語文法の基本を知っておく必要があります。
① 汗拭きつ道を尋ねてをりにけり　　；上五「汗拭きつ」、「つ」は完了の助動詞なので、「拭きながら」という意味にはならず、「～ながら」といいたいときは「つつ」として、　 ⇒　　汗拭きつつ道を尋ねてをりにけり
② 期すことの心にありて新日記　　　；上五「期すことの」が誤り。「こと」や「もの」に動詞が接続するときは連体形になるので、上五は「期する」とする必要があります。　　　 ⇒　　期すること心にありて新日記
③ 今日の月ビルの影より現れり　　　；下五「現れり」の「現れ」は動詞「現る」の連用形で、完了の助動詞「り」は付かず、「り」使えない場合、完了の助動詞「ぬ」を用いて、 ⇒ 　 今日の月ビルの影より現れぬ
④ 夕焼けや人を恃まず生くるべし　　；推量の助動詞「べし」には終止形が説ずくするので、下五「生くるべし」は「生くべし」が正。　「初心忘るるべからず」は誤り！「初心忘るべからず」が正！！
⑤ 母に似し人に会いたる彼岸寺　　　；上五「似し人」の「し」は、過去の助動詞「き」の連体形で過去のことを述べる時に使い、「似し人」は意味をなさず「似たる人」にして、　 ⇒　　彼岸寺会いたる人の母に似て
⑥ あきらかに木犀の香でありしかな　；今気づいた香りなので、「し」(過去の助動詞「き」の連体形)は使えず、場面にふさわしい表現に変える必要があります。　　　　　　　　 ⇒　　木犀の香の明らかに夜の道
⑦ 古日記かの日のページ開きみる　　；下五「開きみる」の「みる」は、「て」＋「みる」にしないと、”何かをしてみる”の意味になりません。「見てみる」を「見みる」とはいわず、「開いてみる」を「開きみる」とはいいません。「仰ぎ見る」のような複合動詞と混同しないように注意。　 ⇒　　古日記かの日のページ開きたる　　　　　　　
以　上　
第２部　作品紹介・合評、他
　１０月例会には、ようやく感じられるようになった秋の気配を、皆既月食や工事現場などさまざまな対象から感じ取り詠み込んだ１３名からの３１作品が集まりました。８名の出席者によるそれら作品への多彩な句評・感想が交わされ、笑いも交えての例会を終えました。各参加者からの代表作品は以下の通りです。

世話人代表　細江　徹　　作成　後藤　伸穂

例会代表作品

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