4月のPC基礎講座は4月5日、15名の参加のもと、9:30～13:30 大みか拠点で開催しました。4月のテーマは「Office 2021 & 365の全貌」についてで、Windows11とともに登場した「Office 2021」。これは買い切り方式の最新版のOfficeアプリである。定額制のMicrosoft 365で追加してきた新機能を取り込んで強化したものである。今回はOffice 2021を軸に最新のOfficeの全貌について紹介する。本件は日経パソコン（2021.12.13)の特集で記載されている「Office 2021 & 365の全貌」を、安田世話人が解説しました。

講座内容の概要は下記のとおりです。

１．何でも相談

（1）支部会員間で飛び交っている迷惑メールの件（世話人より）。

• ⅰ）emotetに感染のマルウエアー添付メールが飛び交っているが、感染者が判明して対策済みである。
• ⅱ）しかし、メールやメーアドレス等の情報が漏えいしてしまった場合、継続して、なりすましのマルウエア添付メールが送られ ます。窃取されたメールアドレスの情報　（メールやアドレス帳に含まれるもの） は攻撃インフラに取り込まれており、マルウエア添付メールは、不特定多数のメールアカウント (攻撃インフラ) から送られるため、送信自体は止められません。 今後、繰り返しマルウエア添付メールを受信したり、なりすましメールが関係者に送られたりする可能性があり、不審な添付ファイルを開かないよう十分注意してください。
• ⅲ） パスワード付きのZipファイルはセキュリテイソフトでは検出できないので、身に覚えのない添付ファイルは絶対に開かないように注意ください。

（２）コロナ対策の件（世話人より）

• ⅰ）本日（4月5日）「エアドッグ」が入荷し、大みか拠点に設置しました。支部のご支援により、コロナ対策には万全を期しております。

２．Office 2021 & 365の全貌

（１）総論　最新のOffice 2021 と Microsoft 365を比較。

• ◆「Office 2021」は「Office 2019」の後継として発売され、「Microsoft 365」の機能が追加されたほか、Windows11に合わせて新しいデザインになった。なお、従来のデザインに戻すことも可能。
• ◆「Office 2021」はパッケージ版、または、パソコンにプレインストール版として購入する買い切り方式。「Microsoft 365」は契約期間中に月額あるいは年額で支払いを続ける定額制（サブスクリプション）制。前者は不具合修正やセキュリティ改善のアップデートのみ、また、ユーザーが使用する2台までパソコンに対して、後者は前者に加えて新機能が随時追加され、同時に5台までのパソコンで使用できる。
• ◆Webブラウザーの画面でWordやExcelの機能が使える「Office on the web」もある。こちらは、Microsoftアカウントがあれば誰でも無料で利用できる。
• ◆メインストリームサポート終了後の延長サポートは、Office2016までは5年間の2025年10月だった。しかし、Office2019では2年間の2025年10月に短縮され、Office2021では無しになった。つまり、サポート終了までの期間は短くなっている。
• ◆個人向けのOffice製品として「Office Personal 2021」（3万2784円）、「Office Home & Business 2021」（3万8284円）、「Miccrosoft 365 Persnal」（年間　1万2984円）がある。
• ◆Microsoft Officeにはほかに、クラウドサービスとしてWebブラウザー画面で利用できる「Office on the Web」や、スマホやタブレットで使えるモバイル版もある。法人向けには「Microsoft 365」のみである。

（２）Part1　2021と365で使えるアプリ共通の新機能。

• ◆画面左上にあった「クイックアクセスツールバー」は非表示になり、そこにあった「元に戻す」などのボタンがリボンに移動した。なお、ウインドウの右端にある「リボンを表示」ボタンのメニューで、クイックアクセスツールバーをリボンの下に表示することも可能だ。
• ◆「Microsoft Search」という新機能が追加された。タイトルバーにある検索欄で、文書中の文字検索はもちろん、機能を探して起動したり、ヘルプから操作を確認したりなどの使い方ができる。アプリ毎に適した検索結果になるのみも特徴。
• ◆Office 2021で文書を作成中、共同編集をしたいときには「共有」ボタンで文書をOneDriveに保存後、メンバーのメールアドレスや名前を指定する。共有中は誰でも自由に文書を編集したり、コメントを付けたりできる。
• ◆Web版Officeで文書を共有している場合、「編集」から「デスクトップアプリで開く」を選択すると、パソコン内のOffice 2021で文書を開けられ、作業が続けられる。
• ◆Excelのコメントは付箋紙型だったが、2021ではWordなどと同じ送信可能になった。従来のメモ帳も存続する。
• ◆2021で追加された「ストック画像」。「挿入」タブの「画像」から「ストック画像」を選ぶと、さまざまな種類で数千もの素材を選べる。これはマイクロソフトが提供するロイヤルフリー素材なので自由に利用できる。一方、「画像」から「オンライン画像」は使用条件を確認する必要がある。
• ◆画像に関する新機能として「SVG」（Scalable Vector Graphics）の対応がある。大きさ可変のベクター画像の意味である。
• ◆Word文書に貼り付けたSVG画像を選ぶと、「グラフィックス形式」タブが表示される。このタブで色合いやサイズを変更したり、「図形に変換」でWordの画像に変換して編集したりできる。
• ◆複数の静止画像を動画のように表示するアニメーションGIFにも対応 した。PowerPointで作成したファイルをアニメーションGIFとして保存できるので、用途が広がる。
• ◆手書き入力機能「インク」も強化された。「描画」タブで手書きした後、「インクの再生」ボタンをクリックすると、手書きした箇所が筆跡順の動画として再生される。
• ◆Wordにも追加された「なげなわ選択」ツール。選択範囲内のインクストロークのみを選択することができる。
• ◆「図形の形式」タブの「図形の枠線」にある「スケッチ」では、挿入した図形の枠線を手書きのように変換できる。

（３）Part2　2021で追加された主要アプリの新機能。

• ◆Excel 2021の新機能「スピル」では、その常識が変わる。「スピル」は、数式が複数の値（配列）を返す場合、数式を入力したセルを起点として、セル範囲に自動で値を配置する。
• ◆例えば、Bl～Elのセル範囲とA2～A4のセル範囲を掛ける数式を入力すると、その計算結果はスピル機能によって、数式を入力したセルを左上にした4列2行のセル範囲に自動入力される。
• ◆Excel 2021ではいくつかの関数が追加されており、特に、「スピル」の機能でより便利に使えそうなものが多い。Microsoft 365でも、これらの関数の機能強化がなされている。
• ◆XLOOKUP関数は、VLOOKUPの欠点を改良版して登場した。XLOOKUP関数では検索対象のデータがどこにあっても探し出せる。　例、XLOOKUP(G2.E2:E8.B2:D8)。G2;検索値、E2:E8;検索範囲、B2:D8;戻り配列。
• ◆追加されたFILER関数も同様にスピルを使って複数の値を返すことができる。FILER関数は指定した範囲から条件に合うデータを抜き出して
• ◆たとえば、FILTER（A:E,C：C＝”宮崎工場”）は、C列がC="宮崎工場"という条件で、A列からE列の範囲で検索し表示。
• ◆同じく追加された新機能のSORT関数はデータ並べ変える。たとえば、SORT(E2:E9)はE2セルからE9セルのデータを昇順に並び替える。また、SORT(E2:E9,1,-1)で降順に変わる。
• ◆FILTER関数とSORT関数を組み合わせることで、元表から抽出した表も並べ替えられる。
• ◆たとえば、SORT(FILTER(A2:E9,C2:C9="宮崎工場"),5,1)は、引数として宮崎工場のフィルターをかけ、左から5列目を昇順で並べるという意味になる
• ◆Excel関数以外での新機能として「シートビュー」がある。共同編集中に「ちょっと試してみたい」ときに役立つ。
• ◆シートビューは、共有編集者の画面と無関係に操作できる自分専用のワークシートだ。「表示」メニューから「新しいシートビュー」を選ぶと表示が切り替わる。
• ◆PowerPointの新機能として、手書き機能である「インク」関連の強化がある。すなわち、スライド内で筆順通りに再生するために、「アニメーション」タブの「再生」と「巻き戻し」が追加されている。
• ◆さらに、PowerPointとにはアクセシビリティの機能として用意されている「スクリーンリーダー」も強化されている。すなわち、「校閲」タブの「アクセシビリティチェック」から「読み上げ順序ウィンドウ」を選択し、読み上げが不要なアイテムのチェックを外し、読み上げ順序を修正する。
• ◆Word 2021の新機能「フォーカス」モードは、内容をじっくりチェックするなど、文書に集中したいときに使う。リボンや背景、タスクバーまでが黒一色に変わり、文書が全画面で表示される。
• ◆Outlook 2021ではメールの翻訳機能が追加された。「ホーム」タプの「翻訳」ボタンをクリックして言語を選択する。あとは翻訳したいメールを選択し、「メッセージを翻訳」を選ぶだけだ。

（４）Web ブラウザーで使えるOfficeも大きく進化。

• ◆Office(Word、Excel、PowerPoint)にはWebブラウザーで利用するWeb版（Office on the web）がある。Web版は年々機能が強化され、今ではデスクトップ版に近い処まで充実してきた。メニューのリボンを「シンプルリボン」から「クラッシックリボン」に切り替えることによってデスクトップ版に近い表示になる。とはいえ、やはり機能差はある。
• ◆Web版Officeで開く方法には3通りある。１）「office.com」からアプリを選んで新規にファイルを作成する、２）WebブラウザーでOneDriveのファイルを開く、３）エクスプローラーのOneDriveにあるファイルを右クリックして「オンラインで表示」を選択した場合である。また、Windows10/11のスタートメニューには、「Office」アプリがある。 Web版はここからも起動できる。
• ◆Web版で編集した内容は自動保存される仕組みなので、メニューに「上書き保存」はない。
• ◆Web版のExcelで選べるグラフの種類はかなり少ない。また、ピボットグラフは表示できるが新規作成はできない。
• ◆また、WordやPowerPointでは、グラフの新規作成ができない。デスクトップ版共通の作図機能「SmartArt」は、PwerPointのみで可能である。
• ◆Web版とデスクトップ版のExcelでは、このような違いがある。マクロやデジタル署名、保護など、ビジネス文書で利用される機能の一部が使えない。
• ◆Web版PowerPointの「表示」タブには、「ノート」「アウトライン表示」「配布資料マスター」などがない。「スライドショー」タブには「発表者ツールを使用する」がない。

世話人・文責：安田 出

2022年4月PC基礎講座の参加者

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